ウェイク店長です。やっと涼しくなってきました。
先日,あるプライベートスタジオを所有するプロミュージシャンの方から,録音機材やギター・ベースアンプなどを接続する,「電源タップ」の製作を依頼されました。
その方は,作詞作曲編曲,楽器演奏,プログラミング,ボーカル,エンジニア・・・何でも見事にこなす,スーパーマルチプレーヤーです。
これまで機材や楽器にはこだわり,良いものを揃えてきましたがケーブルや電源周りにまでは余り手が回らなかったとのことです。今後は,その辺を強化していきたいということで相談されました。
ご存知かもしれませんが,音質向上に効果があるものとしては,ブレーカーや壁コンセントの交換及び,電源タップ,電源ケーブルの交換です。何と言っても機材はすべて電気で動きますので,その源である電源を良いものにするのは基本中の基本です。
いくらでもお金をかければ良いものにできるかもしれません。しかしこの度は数をたくさん揃えたいということ,フラットな音質を目指したいということ,この2点を目標にされるということでした。それで今回,お勧めしたのは
超ハイコストパフォーマンスな「電源タップ」
です。その方にお許しいただき,同等品の製作過程をこのブログで紹介いたします!まずは完成形をご披露いたしますね。
そのルックスから好奇心をくすぐられると思います。シルバーのボディにチョコレート色のコンセント。ずっしりとしたボディの重厚感が伝わるでしょうか。
このボックスの素材は鋼板製(亜鉛メッキ)で,それ自体かなりの重量がありますが,さらなる安定性を求めて,内部と底面に鉛を丁寧に貼りました。
導通部分の振動を抑えることにより信号伝達時の歪が減少し,帯域全体の解像度が向上しますが,この処置により確かに中低域の解像度が向上すると実感できます。
完成品の重量はケーブル1.5mとコンセントプラグを合わせて1.15kgになりますが,底面にさらにシリコンのインシュレーターを装着させることにより,ちょっとやそっとのことではビクともしない,重厚電源タップに仕上がっています。
自作する方は,よく塩ビ製の安価なボックスを使用されるかと思いますが,硬いケーブルなど付けようものなら,クルクルと動き回ってしまうという経験をされているのではないでしょうか。これは,音質にいい影響がある訳ありませんね(笑!)
壁コンセントにも注目しましょう。
JIS規格ではなく,あえてUL規格にしました。理由は今回の目標である,「フラット」「コスパ」を兼ね備えているパーツということです。
神保電器の1132です。
ホスピタルグレードが有名ですが,今回はあえて使用しませんでした。「JIMBO1132」は知る人ぞ知る,古くからのオーディオファンご用達名器です。電極は真鍮の非メッキ仕様。これがフラットさの秘密ではないでしょうか!フラットと言っても,味気ないものではありません。程良くめりはりを持ち,耳になじむ音質だと感じます。そのナチュラル感は,特に長く聴いていただければ納得の音質だと思います。
ウェイクでは(企業秘密の一環ですが・・・)パーツの接点に合わせて,適度の高級チタンオイルにて磨きをかけます。いわば薄ーいワックスがけをするような感じでしょうか。劣化を防ぎ,高音域の歪みが減りナチュラル感が増します。S/N比の向上も見込めます。良いことずくめですが,塗り過ぎはNG!ネジ部などは,ゆるみも出やすくなるので注意が必要。これらは経験値に基づく施工になるので,その様子は秘密にさせてください・・・・(スミマセン)。
内部配線材はこれです。
ご存知,BELDEN19364。説明不要の電源ケーブルでしょう。贅沢にもこのケーブルをバラして使用します。
ナチュラル派は当然ハンダを使用しません。
ケーブル1本1本丁寧に圧着端子にて圧着し,熱収縮チューブで末端処理します。もちろん圧着端子にもこだわっていますよ。
余り工程は企業秘密なので見せたくないですが・・・このような感じになります!
今回のプラグを取り付けるケーブルは,お気に入りの米国製carolを選択しました。BELDENよりも中域に癖がなく,よりフラットな再生を可能にします。もちろんBELDENのアナログライクな感じがお好きな方はケーブルをすべてBELDENにしても良いですよね。
コンセントプラグもこだわりました。こちらです
アメリカン電機の7112GNです。
いわゆるオーディオ用ではありませんが,コスパは最上級です。こちらも非メッキ(真鍮)プラグで大変食い付きが良いパーツです。ガチッと接続できます。特にJIMBO1132を壁コンセントにすると,その食い付きの強さに驚かれると思います。
こちら側も圧着端子により末端処理し接続しています。
以上の工程で,最高のコストパフォーマンスを誇る,重量級の安定抜群タップが完成します!
恐らく皆さんは経験したことのない,最大級のコストパフォーマンスに驚かれるに違いありません。
これは,あくまで電源タップの一例に過ぎません。皆さまのお好みのパーツでいかようにも製作可能です。パーツ選択で,色々と好みの音質傾向に持っていくことができます。コンセントやプラグをホスピタルグレードにして,高解像度を目指すことも可能です。ケーブルは国産のビニルキャブタイヤを選択される方もおられます。逆に,オヤイデなどの高級線材を選ばれる方もおられます。
同じ仕様の完成品は,オンラインショップよりご注文可能です。ご予算と趣味嗜好に応じカスタマイズされたい方は,どうぞお気軽にご相談ください。お見積もりいたします。
ウェイク店長でした。 また次回・・・さようなら。